高度経済成長
吉田ドクトリン
日本は敗戦後、軍事強国であった戦前の方針を、アメリカに軍備を任せることで、軽軍備・経済成長を目指した。
池田勇人と所得倍増政策
吉田茂の弟子にあたる`1960年頃から首相となる。軽軍備・経済成長を継承し、所得倍増政策をうちあげた。簡単に言えば、給料を二倍にするという話である。
どういうふうに所得倍増政策をすすめたかといえば、ケインズ型経済政策を実施し、道路や造船などの公共投資へと財政支出をした。財政支出をすることで、公共事業者が儲かり、公共事業者が商品を買う音で、他社の業種も儲かった。その結果、財政収入も増え、また、新たな財政投資を生む正の好循環が生まれた。こうして所得倍増政策と経済成長を成し遂げた。
高度経済成長の要因とその流れの記事も参考にして下さい。
典型七公害
上記のあまりに急な経済成長により公害問題が起こった。高度経済成長期に経済の成長を優先し、産業公害が発生する。
環境基本法の定義
以下の7つが典型7大公害です。
- 大気汚染
- 水質汚濁
- 土壌汚染
- 騒音
- 振動
- 地盤沈下
- 悪臭
四大公害訴訟
四大公害病
四大公害病とは日本で起きた数ある公害問題の中で、特に被害の大きかったものをまとめたもの。今もなお、被害で苦しまれる方々がいる。
四大公害病概要表
発生地域 | 加害企業 | 原因物質 | 請求の原因 | 公害の種類 | |
水俣病 | 熊本県水俣湾 | チッソ水俣工場 | メチル水銀 | 工場排水がのメチル水銀が水俣湾に流出 | 水質汚濁 |
新潟 水俣病 | 新潟県 阿賀野川流域 | 昭和電工加瀬工場 | メチル水銀 | 工場排水の有機水銀が阿賀野川 | 水質汚濁 |
イタイ イタイ病 | 富山県 神通川流域 | 三井金属神岡工業所 | カドミウム | 神通川にカドミウムが流出 | 水質汚濁 |
四日市 ぜんそく | 三重県 四日市市 | コンビナート内 石油化学企業 | 硫黄酸化物 (原油→石油) | 工場からの亜硫酸ガス | 大気汚染 |
イタイイタイ病
亜鉛鉱石から鉛を取り出す際にカドミウムが発生。三井金属はカドミウムを神通川に流出。カドミウムにより流域住民の骨が軟骨化し、骨折が大量に起き、死亡が相次いだ、
四大公害の特徴
この時期の公害問題と今の地球環境問題を比較してみましょう。
- 特定の地域で発生
- 企業が加害者
- 住民が被害者
- 原因企業がはっきりしているにもかかわらず、裁判が長期化
反公害運動と公害国会
当時の政権は最初は事実上黙殺していましたが、住民からの声がますます大きくなりいよいよ本腰をいれることとなります。
公害対策基本法の制定
1950年前後に東京都、大阪府、神奈川県、福岡県といった大工業地帯で公害防止条例が制定されます。
その後、1960年個別法による政府主導の対策。水質規制法や煤煙規制法などが成立。しかし公害は収まらなかった。
1966年、組織として、公害審議会を設置。厚生大臣の諮問機関であった。
1967年諮問会の問審を受け、公害対策基本法が制定される。公害対策基本法で典型7公害が指定される。これにより環境問題に対する総合対策が可能となった。
生活環境の保全については、経済の健全な発展との調和が図られるようにすること。
経済を阻害する環境保護施策は後回しにされると批判され、この条項は3年後に撤廃された。
公害反対運動と公害国会
1960年代から公害反対運動が社会党や共産党、マルクス経済学者を主導として資本主義にもともと反対派であったため、住民からの信頼も篤かった。
1970年になるとようやく重い腰をあげて国会における公害問題の集中審議を果たす。14も公害対策に関する法案が通ったことから公害国会とよばれる。
この公害国会で、公害対策基本法の第1条である「公害規制と経済発展との調和条項」が削除される。
この公害国会により、経済発展よりも公害規制を優先することとなりました。
汚染者負担の原則(PPP)
PPPとは??
1970年の公害国会で、公害罪法と公害防止事業費事業者負担法を制定。
これにより、汚染者負担の原則(PPP/Polluter Pays Principle)を導入。
汚染物質を出したものが、公害によって生じた損害や公害防止費用を負担するべきだという考え方のことです。
PPPの具体例
炭素税
使用した化石燃料に含まれる炭素の量に応じて課されるのが炭素税(CO2税)です。
グリーン税
排気量に応じて自動車関係諸税を課税されるのがグリーン税です。
無過失責任の原則
公害国会では民法の故意・過失責任の原則を修正して、無過失責任の原則が定められました。
これは被害者は原因物質と汚染経路さえ立証すれば、加害者や加害企業の故意・過失を立証できなくても損害賠償を請求できるというもの。
環境庁の発足
1971年、公害問題・環境問題を扱う中央省庁として環境庁が発足します。そして2001年1月6日、環境省に昇格します。
環境基本法の制定
1992年に行われた地球サミットをさかいに、
公害対策基本法と自然環境保全法を融合させた
環境基本法が1993年に制定されます。
地球サミットは環境問題への国際的な取り組みを参考。
環境基本法は国際環境法とも呼ばれています。
このように法律は作られていっていますが、
まだまだ環境問題はそれでも解決に至っていません。
基本理念
- 現在及び将来の世代の人間が環境の恵沢を享受し、将来に継承。
- 全ての者の公平な役割分担の下、環境への負担のすくない、
持続的発展可能な社会の構築 - 国際的協調による積極的な地球環境保全の推進
国、地方公共団体、事業者、国民が環境保全に対して、責任を負う。
なぜ、環境問題は解決されないか?
- 国家間の利害の対立
- 強制力を持たないルールが多い
環境アセスメント法
1997年に環境アセスメント法が成立する。
これは工事や建設工事などによって事前が破壊されるのを防ぐための法律である。
その事業が環境にどのような影響を与えるのかを調査することとなった。
参考資料
- 現代社会は持続可能か 基本からの環境経済学 日本経済評論社 2013年 小林英二
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- 2016年4月22日、5月6日愛媛大学農学部松岡淳教授講義「資源環境政策第2回・第3回」
- 新マンガゼミナール 現代社会 パワーアップ版 学研 2015年 清水雅博
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