ドイツの農村の状況
ナポレオン戦争後に、領主を残したまま、農奴が解放されました。自由農民となった農民は土地の所有権を得ました。しかし、領主が大方の土地を維持したままであり、自由農民は経営基盤が零細で、多くの収入を得られませんでした。農地を担保に高利貸しからお金を借りて、農地を奪われ、肥料を掛けで買ったので、農産物を奪われ、利益を得られるころに商人に返さなくてはいけませんでした。
ライファイゼン系信用組合の設立
ライファイゼン郡長は救済委員会などをつくり、パンの供給をはじめました。
フラマースフェルト貧農救済組合
1849年設立。
- 家畜を購入して、農民に貸付
- 農民に資金を5カ年賦で貸付
ヘッデスドルフ福祉組合
1852年設立。
- 村の篤志家を口説いて、59人の組合員から預金を得る。
- 目的として「物質的幸福の向上を通して、精神的幸福も助長させる」という思想的側面もある。
ヘッデスドルフ貸付組合
- 篤志家が貸付組合に預金。
- 貸付組合が農家に貸付。
- 農家が利子とともに返済。
- 篤志家に利子を手渡す。
ライファイゼン原則
1873年確立。
- ドイツ協同組法に基づき、組合員の無限責任のもと設立。
- 道徳的・物質的な組合員の状態改善
- 組合の地区はできる限り、小区域にとどめ、組合員は区域内に居住し、加入は1つ。(近所だと顔見知り)
- 非出資制で、出資制をとっても1人1口、配当率は貸付利子を超えない。
- 役職員の無給
- 事業からあがる利益は不可分の共同財産として積み立てられる。
- 業務の運営などは中央の指示・監督も受ける。
ライファイゼン系信用組合の特徴
- 小地域組合(目の届く範囲、1500人ほどの住民)
- 無限責任制
農村部協同組合の原型、日本の農協の原型。
今に生きるライファイゼン
ライファイゼンバンク
「銀行」となり、合併している地域もあるが、庶民的金融機関として存続。庶民への貸付を基本としているので、世界的大不況の影響はあまり受けない。
再生可能エネルギー
「地方の資源を大資本に渡すな!」のスローガンのもと、地域内での資金を循環させる取り組みが行われている。それがライファイゼン精神である。再生可能エネルギー事業は協同組合形式での事業展開が行われている。
参考元
愛媛大学農学部 板橋衛「協同組合論」2016.6.29
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