イギリスがEUから離脱することが決まりましたね。
いくらイギリスが三枚舌外交をしているとしても、
ここからひっくり返ることはなかなか無いかと思われます。
ここからヨーロッパは混沌としていくでしょう。
今回はEUの簡単な振り返りと、個人的な将来予測を書きます。
欧州共同体(EC)
1967年に結成されたEUの前身組織。正式名はEuropean Community。
- 欧州石炭鉄鋼共同体(ECSC)
- 欧州経済共同体(EEC)
- 欧州原子力共同体(EURATOM)
以上の3組織が合わさってできた。長年の領土抗争に終止符を打つことや、商売敵であるアメリカや日本に勝つために結集した組織。ナチスから祖国を救ったフランスのドゴール将軍はアメリカにベッタリのイギリスの加盟は頑なに拒んだ。
原加盟国は
ベネルクス三国の
- オランダ
- ベルギー
- ルクセンブルク
と、
- フランス
- 西ドイツ
- イタリア
の合計6カ国である。
地域市場統合
ドゴール将軍の死後、イギリスの加盟は認められます。
その後、加盟国が増え続けます。
関税同盟の実現
域内関税の撤廃
ECに加盟する国と国との間では、関税を0%としました。これで、面倒な手続きもせずに済み、物流が活発化していきました。
域外へ共通関税
ECに加盟している国の間で、共通の関税を設定することで、一種のブロック化をはかり、ヨソからはなるべく商品が入らないようにし、域内での流通を促しました。
ヒト・モノ・カネ・サービスの取引自由化
1993年1月に実現。
国境をこえて移動する場合は、通常、パスポートの提示等、一旦ストップがかかります。しかし、1つの国へと最終的になることを目指していたECは、ヒト・モノ・カネ・サービスの取引自由化をはかりました。これにより、審査にかかっていた余分な時間や費用が削減され、ヒト・モノ・カネ・サービスの流れがより活発化しました。
EUへの発展
1993年11月、欧州連合条約、通称マーストリヒト条約が締結される。

pixel2013 / Pixabay
域内の経済政策統合や欧州中央銀行(ECB)の一本化や通貨統合、
外交・政治統合を目指すことを決めた。
ちなみに原加盟国は、ECの6カ国に加えて、
- イギリス
- デンマーク
- アイルランド
- ギリシャ
- ポルトガル
- スペイン
の合計12カ国である。(この時点でギリシャが入っていたんですねー。)
EFTA
イギリスがEECに対抗してつくった共同体。現在の参加国はスイス・ノルウェー・アイスランド・リヒテンシュタインの4カ国。スイスを除く3カ国はEEA(欧州経済地域)には参加している。
なお、元参加国はイギリス、ポルトガル、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オーストリアである。
EURO(ユーロ)の流通
1999年から域内統一通貨・EUROが流通。
2002年にその流通は完成した。
ドイツの通貨・マルクやフランスの通貨・フランは廃止された。
なお、誇り高きイギリスは世界の銀行として君臨する栄華のもと、
独自の通貨であるポンドの廃止を拒んだ。
リスボン条約
2004年にEU憲法が採択された。しかし、2005年にフランスとオランダがこの条約を国民投票で否決し、採択の発効は暗礁に乗り上げていた。
2007年、EU憲法に代わって、リスボン条約を採択。
- 一定数以上の国が反対すれば、議論を継続する。
- 加盟国議会に拒否権をあたえ、1/3以上の国が反対すれば見直しする。
- 事実上のEU大統領をおく。(常任議長職)
- 人権を尊重する
などのルールが制定された。
EUの理事会では、
- 55%以上の加盟国の賛成
- 賛成国人口合計がEU人口の65%以上
というルールが制定された。
EUの今後
イギリスが離脱したことの影響は大きい。
今後、イギリスが加盟していたことにより、北海油田で享受を得ていたスウェーデンなどの北欧諸国の離脱のドミノだおしが起こる可能性。
まず、ドイツ、フランス、イタリアに次ぐ、EUへの拠出国であったが、
それがなくなることはEUにとっては負担が増える打撃である。
イギリスはEUに対して、EUの歳入の10%を占めるおよそ100億ユーロ(約1.2兆円)の支払いをしていた。
EUの負担額が増えることは必至である。
次に、安全保障の問題。
イギリスはアメリカの元・宗主国であり、同じ英語圏であり、諜報グループ、ファイブアイズのメンバーである。アメリカとの折衝はイギリスが担っていたと言っても過言ではない。
そんなイギリスが抜けると、アメリカのEUへの関心が弱まることは間違いない。2016年のアメリカの大統領選挙次第ではあるが、下手をするとNATOの崩壊も可能性も否定できない。
そうすると、EUの集団的自衛能力が低下する。これに伴い、ロシアがヨーロッパ諸国を蹂躙する可能性がでてきた。ドイツより東の平原は、ロシアにいとも容易く、併合されてしまうでしょう。
さらに、イギリスは外交上手として知られる国。EU全体の外交力も低下するだろうと考えらます。
イギリスの離脱による余波は今後も注目です。
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